« クマー! | トップページ | 企画室でもやってみた。 »

愛犬

 今にも激しい雨が降るんじゃないかと思わせる、黒い雨雲の下で1件のメールを受け取った。
それは母親からのメールで、「飼っている犬が亡くなった」という内容だった。

 しかし、今日は飲み会の打ち合わせと実技試験向けの練習をせねばならず、すぐに帰れなかった。
むしろ、そのときはあまり悲しい気持ちにはならなかった。

 彼は今年で12歳を迎えようとしていた。
思い起こせば、僕が高校3年のときに我が家に来て、それからずいぶんヤンチャなことをやってきた。
甘噛みされた記憶は数知れない。
そんな彼もここ1ヶ月はすこぶる体調が悪かった。
いつもは、がっつくはずのドッグフードを食べず、水ばかり飲み下痢を起こしていた。
そんな状態がしばらく続いていたので、家族の間でも長くないんじゃないかと読んでいたせいもあってか、気持ちに揺らぎは無かった。

 酒の席に誘われたが、さすがにそれは遠慮した。
帰りの電車でも普段と変わらぬ態で、本を読み、音楽を聴き、家まで帰ってきた。

 家の中に入って、母親に遺体の場所を訊いた。
仏壇の前のダンボールに入っているという。
線香を焚いた。
自分の中では、一連の動作を淡々と済ませて晩メシを食おうと考えていた。
でも、ダンボールを目の前にして、突然泣いてしまった。
声はあげなかったが、涙が止まらなくて延々と泣き続けた。
生前の記憶を辿ると非常に辛い。
声、毛並み、寝相の悪さ、じゃれる時のクセ…
癒しという言葉はあまり好きじゃないけど、癒されていた部分があったことを認めざるを得なかった。

 時計の針をみたら45分進んでいた。
泣き続けても生き返るわけじゃないので、いい加減泣くのを止めた。
その後に食べた冷や飯はいつも食べ慣れているはずなのに、妙にボロボロしていて不味かった。

 …この一件で改めて『死』という事象について考えてみた。

どんな生き物でも遅かれ早かれ死はやってくる。

悩んでも悩まなくても。

今すべきことを、後悔の無いようとことんやるべきと私は考える。

私のポジションは音楽学校の学生。

出来ることは一つ、稽古あるのみ。

ここまで練習出来る環境は、三十路の私にとってこの先ないだろうし。

さらに言えば、「この先どうなるのか?」といった漠然とした悩みは時間しか解決してくれないと思う。

そして、愛犬の死をきっかけに、ふと4年前の決心を思い出した。

「金を目一杯貯めて、ドラムをとことん練習できる環境を作ろう」

そして今、ドラムをとことん練習できる環境にいる。

4年前の自分を裏切らないためにも、今は練習、と思うのでした。

~終~

 愛犬の死という非日常に触れて、普段はあまり表に出さないことを纏めてみようと思い、この日記を書きました。それだけです。

|

« クマー! | トップページ | 企画室でもやってみた。 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/58879/22549652

この記事へのトラックバック一覧です: 愛犬:

« クマー! | トップページ | 企画室でもやってみた。 »